
配球って難しいな…。ただサイン通りに投げてるだけになってしまう。
配球の考えって何を勉強したらいいの?
こんな疑問に答えます。
結論から書くと、配球は一打席単位で考えるのに加え、試合単位で考えるのが結構大事です。
僕が大学Ⅰ部リーグ15勝できたのは組んだキャッチャーに、この試合単位で考えた配球をしてもらえたところが一つ大きいです。
記事で詳しく解説します。
打席単位で見たら負けることもありますが、試合のスコアは勝てるようになるので、試合で勝つための配球を学びたい人はぜひ
(今回は競ったロースコアの試合を落とさないことを特に目指しての配球を書いています。余裕勝ちの展開なら点やりながらアウト増やしてもいいので。あと、先発が7回くらいまで投げる想定です。)
一打席単位の配球が不十分な点 [投手vs打者の勝負は勝てるけど]

本題に入る前に、一打席単位の配球が不十分なところを知っておくとスムーズです。
よくある配球論は「こういう打者にはこういう攻め方」という打席単位の考え方がほとんど。一打席勝負の勝ち方です。これは打席単位の勝ちは増えるかもですが、試合の勝ちにはそのまま生かされない場合があります。
巷の配球論はセオリーです。打者を打ち取るのに最も有効だからセオリーとして定着しています。
ただ、このセオリーも繰り返せば、いい打者なら対応してきますし、そうなると絶対のものではありません。1打席目から4打席目まで同じ攻め方で打ち取れるならそもそもその打者やチームをレベルが落ちます。
要は、セオリーも使い方とタイミングを誤ると、打席単位の勝ちは拾えても試合の勝ちを落とすケースが出てくるため、打席単位だけでなく、試合単位の配球が必要になってきます。武器になる球も使い古したらカモにされます。
「この打者にはこういう攻め方」を一試合、各打者に対してやり続けるのは実は危ない行為です。前半はセオリーの力で抑えていても、終盤の大事な場面で慣れられて失点するからです。これが打席単位では勝って、試合には負けるパターンです。
木を見て森を見ずという感じでしょうか(使い方合ってるか不安)
これをなくすために試合単位の配球が必要なのです。
試合に勝ちたいなら試合単位の配球を [投手、捕手必見]

では試合単位の配球とは具体的に何なのか。
まず、試合に勝つためには失点を防ぐのが最優先事項です。
なので、全試合完封といきたいところですが、さすがにそれは無理があります。
よって、「点は取られても絶対に失点が許されない場面の失点は防ごう」という方向に考えます。
では、1番失点してはいけない場面というのはいつか。試合の終盤ですよね。
理由は簡単で、残りの攻撃回数が少ないので返すのが難しくなるからです。
以上から、試合に勝つための試合単位の配球では終盤に失点されないことを目指し、組み立てていくという方向性になります。
以下でもっと詳しい組み立て方について↓
序盤の配球では打たせていい [投手vs打者は負けてもOK]
終盤に失点しないことを考えると序盤(1巡目)は打たせて、点をあげてもある程度までならOKとします。
打たせると言ってもただ打たせるわけではありません。なんのためにここで打たせてもいいという風に書いたかというと、終盤にセオリーを使って攻め、その投手の1番いい球を使いたいからです。
よって序盤はセオリーとズレたことをしながら、投手の1番の強カードは伏せて組み立てます。全くとは言いませんがかなり少なくします。
これでやっても打者は打って3割なので意外と打たれません。
この布石が終盤でいい感じに効いてきます。
配球的な要注意打者のマークの仕方 [投手は打たれても気にしない]
どのチームと対戦するときも要注意打者は一人くらいいるでしょう。
そんな打者こそ、序盤は打たせましょう。セオリーからずらして、投手の武器球は使いません。苦手な場所は攻めません。
終盤に一番きつくなるケースは、ランナーがいる状態でこの要注意打者に回る時です。
打たれてはいけない場面で1番打つ打者に回ったこのケースで、投手のベストボールをセオリーに乗せて苦手な場所にぶち込むため、良い打者に対するときこそ序盤は我慢です。
ここはめちゃくちゃ大事で、これを1打席目から完璧に抑えようとすると、セオリーの効力が薄まって、上のケースで粉砕されます。
試合単位の配球ができているか否かはこの布石を打っているかどうかとも言えます。
中盤の配球から徐々に武器を出していく [投手の武器球解禁]
中盤からは徐々に武器を出していきます。
セオリーとズレた配球ではだいたい2打席目以降きつくなってくるので、投手の武器になる球、セオリー、相手のニガテを少しずつ攻め始めます。
出さなくて大丈夫そうなら出さないに越したことはないです。
また、中盤では、展開によっては早めに失点をどうしても防がないといけない状況になっているかもしれません。
0-0で相手の投手も良く、失点したら返すのが難しそうな中で、ランナー得点圏&要注意打者みたいなケースです。
こんな時は惜しまずに武器を使います。
これで要注意打者に対してその投手の引き出しがなくなってしまうなら、変え時が近いかもです。
負けるよりはいいのでここで出し切って、終盤はスイッチするという選択肢もアリです。先発が長く投げるのは優先ではないので。
終盤の配球は絶対に失点しない [投手、捕手の能力総動員]
終盤はこれまでの布石を生かし、セオリーとベストボールとニガテを攻める、で絶対に失点を許さないようにします。
ここまで来たら、打者ごとのセオリー通り、相手の嫌がる配球をとことんしていきます。
しかし、投手が最終盤までに武器を使い果たして、次は危ないかな…という状態で要注意打者に回る時は交代か敬遠を考えたほうがいいです。
勝つために一か八かの勝負は避けて組み立てます。武器が尽きてもここまでで7回2失点くらいにまとめていれば十分でしょう。
交代先の投手は、もちろん全部武器使って、出し切って終わったらOKです。
これで、ヒットは出るけど大事なところでの失点はしない、3-2で勝ち、みたいな試合が計算通りで完成します。
以上が試合単位の配球の概要です。
試合単位の配球をするための準備 [投手も捕手も]

試合のための配球を見てもらいましたが、具体的に必要な準備がわかった方が実践しやすいと思うので書きます。
相手の要注意打者がだれか、弱点も含めて確認 [投手も捕手も]
試合単位の配球をするにあたってまず必要なのは、相手打者の中で、だれを警戒すべきなのかを確認することです。
要注意打者がわからなければ終盤に向かっての布石も打てません。ここぞで攻める弱点についても同様に確認します。
偵察などでデータは集めておくべきですが、どうしても初見でノーデータのチームと対戦するときは、打順や1打席目の様子で警戒具合を判断します。
味方の投手は何が武器で、それを序盤の配球で隠すことはできるのか
味方の投手の武器は確認します。決め球になったり、1打席ではとらえるのが難しい球です。多くは球種になりますね。
で、大事なのはそれを隠しながら序盤を乗り越えられるかという点です。
武器がない、もしくは武器を隠しながらでは序盤を乗り越えるのが難しいと判断される場合は、早いタイミングでの継投を想定しながら序盤からすべてカードを出し切っていけるところまでいくか、中継ぎで短いイニングを任せるのがいいかと。
ピッチャーの人は、先発したいなら1打席では攻略が難しい武器を持ちつつ、それを隠しても1巡くらいなら抑えられる引き出しを持っておくと、この配球で長いイニングを安定して投げられます。
逆にそんな引き出しがないなら、中盤から終盤につかまりやすいので先発としては心もとないと思った方がいいです。
試合前に投手と捕手で配球計画についてコミュニケーション
試合前に、その試合で誰をマークしてどんなプランでいくのか、すり合わせは絶対に必要です。
キャッチャーが一人でセオリーとズレたことをやり始めたらピッチャーが戸惑います。
このコミュニケーションの時、1番大切なのは打たれていい場面を伝えることです。
ピッチャーは基本的に打たれるのは嫌なのですが、トータルで勝つために打たれていい場面があるのは先ほど書いた通りなので、そのことを伝えて、そこで打たれても気にしないようにします。
その代わり、終盤の大事な場面では極限まで集中するようにして、序盤はとにかく打たれていい、勝つために打たれていい場面はあるんだということを植え付けましょう。
ここで認識の相違が出るとバッテリーそれぞれが非常にやりずらいので抜かりなくやります。
実例紹介! [大学Ⅰ部リーグ15勝投手を作った配球]

最後に実際に僕がリーグ戦でどのように投げていたのか、ピッチャー目線ではありますが紹介します。どんな流れで試合が進むのか想像してみてください。
試合前には必ず、3回までは打たれていいからということを必ずキャッチャーの人に言われていました。2点くらいなら返してもらえる感じがあったのでそのくらいの失点は許容範囲です。これがあったので、序盤はヒットが出ても全然気にしません。
僕はチェンジアップが武器だったので、序盤はチェンジアップをほとんど使わず、まっすぐ、スライダー、ツーシームで組み立ててもらいました。空振りはほとんど取れないし、ヒットも出て粘られたりもしますが気にしません。
大学のリーグ戦は同じチームと何度も対戦するので、要注意打者はお決まりでした。
要注意打者については、1打席目は全球まっすぐなんてことも平気でやってました。セオリーからはガンガンずらすので、ここで打たれても気にしません。案外打たれませんし。この打者には特にチェンジアップを隠します。
中盤以降は少しづつチェンジアップを解禁していって、勝負どころでは惜しみなく使います。中盤で絶対に失点が許されない場面ではキャッチャーの人がタイムをとってそのことを確認しに来てくれていたので、意思が食い違うことはありませんでした。
ほしいところでの奪三振も序盤のおかげで増えます。
ランナーは出ますが点はやらない、パッと見は要所を締めたピッチングに映っていたと思います。
終盤は全部出し切って、あとは抑えのピッチャーにお任せという感じでした。
序盤はチェンジアップを隠していても大量失点はなかったので、中盤以降リードしたら、それを守るのは結構堅かったです。ピンチはたくさんありますが、まだ見せていないカードがあるとわかっているので、自信と精神的余裕は持ちながら勝負できました。
完投は少なかったですが、2回生の時に優勝したリーグ戦では50イニングくらい投げて防御率1.21だったので割と効果的だと思います。
キャッチャーの人に感謝です。
試合単位の配球は投手と捕手の共同作業

試合単位の配球、ぜひ実践してみてほしいのですが、この配球は特にピッチャーとキャッチャー、両方の技術、理解がないと完成しません。
技術的には、ピッチャーは後で出せる引き出しが必要だし、キャッチャーは状況判断能力、打席単位の配球、セオリーが不可欠です。
また、技術があっても、バッテリーの認識がズレればストレスもかかりますし崩れます。
なので、この情報はぜひバッテリーで共有することを強くおすすめします。
自分たちの手でゲームメイクする楽しみを感じてみてください。
今回はこれにて。ありがとうございましたっ!
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