
いいピッチャーになりたいけど、具体的にどんなピッチャーを目指せばいいんだろう?
こんな疑問を解消します。
「いいピッチャーの定義」は人によって様々。
「今のプロ野球界で一番いいピッチャーは誰だ?」という問いには、いろんな視点から、それぞれもっともな意見が飛び交うことでしょう。
僕も、いいピッチャーの定義については以前の記事で書きましたが、本当にいろんな見方があります。
そんな、永遠のテーマとも言えそうな「いいピッチャーの定義」を、今回はこちらの『継投論』を参考に紹介します。
僕なりには、先ほど紹介した記事の方を、「いいピッチャーの定義」として採用していたのですが、『継投論』の中にあった考え方も「確かに!」と思ったので。
漠然と練習していても、上達スピードは微妙です。
自分の目指す「いいピッチャー」を明確にすることで、練習の質は上がり、上達スピードは一気に加速します。
それを考える一つの参考としてどうぞ。
・『継投論』に学ぶ、最強ピッチャーの姿
・元プロ野球選手(権藤博さん)の考え方がもとになっています
『継投論』に学ぶ、最強ピッチャーの姿
結論から書くと、「抑えが最強」というのが、著者の権藤博さんの考え方です。
権藤博さんは、「権藤、権藤、雨、権藤」で有名で、言葉通りに年間44試合に登板し、35勝を挙げたこともある大投手です。
1998年に横浜を日本一に導いた監督でもあり、最近では日本代表の投手コーチも務められるなど、指導者としても功績を残され、活躍中です。
詳しくはこちらを(権藤博-Wikipedia)
そんな「抑えが最強」説を以下で詳しく解説していきます。
『継投論』から学ぶ最強ピッチャー=抑え!

まず、権藤さんは、「抑えが最強」という考え方です。
一般的な感覚では、一番長いイニングを投げる「先発」が一番いいピッチャーだと思うのですが、実はそうではないのです。
その理由として↓
でも、抑えはそんなに甘いもんではないですね。中継ぎも後ろに行くにしたがって逃げ切りに入ってきますからキツくなってくる。8回くらいになると相当なプレッシャーがかかりますから、先発が務まらないピッチャーだから中継ぎでもやらせておこうなんていう発想ではやられます。
『継投論 投手交代の極意』権藤博 二宮清純 2017年 廣済堂新書
これは「なるほど!」と思いました。
確かに、後ろに行くほど、必然的にプレッシャーのかかる場面での投球になりますが、その最後を担う抑えは、特に一番しんどい緊張感に耐えなければなりません。
この、試合の後ろが大事という考え方から、自然に、抑えに一番いいピッチャーを置く=抑えが務まるのが一番いいピッチャーという理論が導き出されます。
実際に権藤さんは、投手リレーを考える際、後ろから(抑えから)順に決めていくようです。
先発は?
学生野球の感覚だと、特に、「先発が最強」の考え方が根強いです。
プロでも、ビッグタイトルの「沢村賞」は先発完投型のピッチャーに贈られる賞だったり。
「先発こそが選ばれしもの」という感覚はありますよね。
誤解を恐れずに言えば、先発は6回を3点以内に抑えればとりあえず合格じゃないですか。もちろん、そうやって試合を作るのは立派なものですが、中継ぎ、セットアッパー、抑えと、後ろにいくにしたがって点をやってはいけなくなる。当たり前ですが、後ろが打たれて点をやったら、ゲームが終わってしまうわけですから。
『継投論 投手交代の極意』権藤博 二宮清純 2017年 廣済堂新書
しかし、このように、先発と中継ぎ以降では、「失点への許容」に差があります。
ランナーが出ても、「失点OK」で投げられる可能性がある先発より、「何としてもゼロで抑えるのが仕事」の中継ぎ以降、特に抑えがいいピッチャーでなければいけないのは、理解できます。
プロでも、抑えから先発に回って成功した例はありますが、その逆は意外と少ないです。
日ハム 増井選手
抑え→先発10勝
ロッテ 涌井選手
先発→抑え30セーブ(西武)→先発15勝で最多勝(ロッテ)
オリックス 山本選手
中継ぎ32ホールド→先発8勝(最優秀防御率)
など
このことからも、抑えが務まる選手がいいピッチャーと言えるかと。
また、試合が進む中で、先発より劣るピッチャーが後ろで出てくることは、攻める側にとっては、有利な材料でしかありません。
こんな理由からも、抑えが最強だということが納得できます。
僕が「抑え最強」を実感した出来事
しかし、僕も、「先発が一番だ!」と思っていた人間で、本で読んだだけでは、正直、腑に落ちていなかったかもしれません。
そんな中、本を読んだのと、この「抑え最強」を実感する出来事が重なったことによって、考え方が変わりました。
その出来事を少し紹介させてください。
大学2回生当時、僕は、先発で投げさせてもらう機会が多く、4勝を挙げました。
継投で勝つ試合が多く、だいたい、僕が7回まで投げて、8.9回は、1つ下の右ピッチャー(仮にTとします。)が抑えを担当。
これで安定して勝つ試合が多かったです。
しかし、3回生の間はケガで投げることが出来ず、抑えだったTが先発するのをずっと見ていました。
すると、Tが先発としても、ガンガン抑えるのです。
結果も素晴らしかったのですが、ポイントだったのは投球内容。
もともと、まっすぐで三振が取れるピッチャーで、荒れることもないので、抑え担当でした。
しかし、先発しても、能力そのまま、9回完封&10奪三振、みたいなことが出来るのです。
これは、僕にはなかなかできないことでした。
7回2失点くらいにまとめるのは自信がありましたが、相手がいいピッチャーでこちらが完封されると、「ナイスピッチ」でも負ける、ということが何度かありました。
Tはねじ伏せるようなピッチングで、このような負け試合までモノにできるのです。
僕は、中継ぎ、抑えがニガテで、「先発をやりたい」と思っていましたが、それは向き不向きではなく、単に僕の能力不足だな、と、Tの先発での成績、本の内容を受けて感じました。
最強ピッチャー像、「抑えができる」ピッチャーとは?
では、この最強ピッチャー=「抑えができる」ピッチャーは、どんな特徴があるのでしょうか。
これを理解し、意識することで、目指すいいピッチャー像を明確にすることができます。
まず、感覚的には「ねじ伏せる」ような抑え方ができるピッチャーが抑えのイメージです。
その「ねじ伏せる」中身は
・三振が取れる
・四死球を出さない
あたりでしょうか。
さらに、分解していくと、
・三振が取れる
→球が速い、空振りが取れる変化球がある、コントロールがいい
・四死球を出さない
→コントロールがいい(ように見える)
こんな感じ。
これらの中で、足りないものを補う方向で努力していくと、今回のいいピッチャー像には最短でたどり着けそうですね。
空振りをとるために役立ちそうな記事はこちら↓
コントロールを良く見せる方法はこちらを↓
反対に、スタミナなど、先発に必要な力をつける練習の優先度は低くなります。
まずは、打者一人をねじ伏せられるようになる。
その後に、1試合通して、「ねじ伏せる」の使い時や、使える回数を増やしていくことで、先発にも対応できるようになるイメージでいいでしょう。
『継投論』から学ぶ、最強ピッチャーの姿 まとめ

「いいピッチャー像」には、いろんな考え方がありますが、今回の「抑えが最強」は、かなり理にかなっていると思ったので紹介しました。
一つの引き出しとして活用してもらえれば幸いです。
今回の参考著書はこちら。
記事では全く触れていませんが、タイトルの通り、「継投」の考え方も新鮮で勉強になります。
「継投」のようなジャンルは、今のところ、誰かの経験から学ぶしかないです。
試合通して、シーズン通して、チームで勝つために。
ピッチャー、首脳陣の考え方を学んで、根拠を持って動きたい人にはオススメ。
今回はこれにて。ありがとうございましたっ!
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